その中で学んだことがある。それは、むやみに人を辞めさせないこと、働いている人に感謝することの2点だ。
中小企業は色んな人が来る。大企業は何万人というエントリーがあり、学力テスト及び面接でフィルターを掛ける為、優秀且つ同質化した人材が確保可能だ。中小企業がそういった場所に行けない、向いていない人がエントリーをする場所と断言しても過言ではない。
当然、基礎学力も怪しい。テストをすると、分数があやふや、文章題も分からない。相対的に論理的に考える力が大企業に勤務するスタッフと比べると劣るだろう。
大企業では、信じられないミスもする。意味が分からないクレームを起こす等、中小企業では、色んなことがあるが、今いる人材でどう運営できるかを精一杯考えて、乗り越えるのが中小企業に課せられたミッションだと言うことを僕は経営者となって学んだ。
比較するのもおかしい話だが、私が幼少期の頃、父親は土木業を営んでいた。作業員はアル中、薬中、背中に入れ墨、小指が無い人ばかりだった。組から足を洗って入社希望する人が多く、入社条件は、薬をやらない、けん銃を所持しないが条件だった。
めちゃくちゃな会社だったので、今の会社のメンバーはとても素直で、真面目にしか見えない。比較する観点がおかしいと言われるが、素晴らしい人達であり、働いてくださっていることに感謝だ。
父親は作業員をかばったせいで、組事務所に拉致されたり、麻薬捜査で警察にガサ入れをされたり、家族も大変だった。苦労がたたり、私が中学の時に、土木業を畳み、警備業に業態を変えてしまった。
忙しい父に代わって、遊んでくれたり、色んなことを教えてくれたのは、アル中のスタッフだったし、初めての海に連れてってくれたのは、全身入れ墨のスタッフだった。
めちゃくちゃな人達だったが、僕の育ての親でもあったのだ。社会では厄介ものであったり、排除されるべき人だったかも知れないが、僕には大切な仲間だった。
人は変われない。しかし、あきらめることなく、愛情を持って、人に接することを忘れてはいけない。